過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第41章 秘密の共有と隠し事
「それはお主の知る必要の無い事だ」
「あるな。もしこの仮説が正しくなかったとしたら・・・
リヴァイ同様諦めきれるものではないからね。それで?
私の仮説は正しいのかい?」
「・・・・・・・そうだ。非人道的行為が行われていたことは
認めよう」
それを聞くとエルヴィンの顔が喜色に染まったように綻んだ。
「それはどのような・・・っ!?」
「ただし!きちんと本人の了承を得た人間のみにしか
行使してはおらぬ。・・・だから・・・・・・・だけど、
良かったとは思っていない」
エルヴィンの言葉を遮ったナナシは沈痛な面持ちで語った。
「あんな事したから・・・・皆殺しの憂き目にあったのだ。
人の領域を超えるような力を手にしたばかりに・・・」
蚊の鳴くような声で言ったナナシを痛ましいとは思ったが、
エルヴィンとしてはその『人の領域を超える力』が欲しいのだ。
何としても口を割らせる必要がある。
「心は痛むが、現時点でその『人の領域を超える力』を
手に入れなければ人類全てが滅びてしまうかもしれない瀬戸際なんだ。
その方法を教えて貰えないだろうか?」
「・・・・・・・・・・・・」
フルフルと無言で首を横に振るナナシにエルヴィンは猶も言い募る。