過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第39章 護剣術と護身術
「お主に戦い方を見られた後では分が悪かったな・・・」
「足技を主に使う戦い方は動きさえ封じてしまえば
此方のものだからね。・・・とは言え、言うほど容易くはなかったが」
「容易かったら護身術にはならんからな。
それよりもさっさと離れろ」
「んー・・・?」
ナナシを身体で抑え込みながらエルヴィンは曖昧に微笑み
言葉を濁す。
「いや、折角君を抑え込めているから・・・」
そう言ってエルヴィンはゴソゴソとナナシの身体を弄り始め
胸を触った後、その手は下半身に伸びる。
エルヴィンの意図を察し、
ナナシは己の腕を縛っているロープを力技で引き千切って、
彼の手をギリギリと捻り上げた。
「今すぐこの両腕を使い物にならなくしてやっても良いのだぞ、小童」
「いたたたたたっ!冗談だよナナシ」
「そんな言葉で済めば憲兵と牢獄なんぞいらんわ。この変態が!」
そんなやり取りを呆れながら見つめていたのは
リヴァイとハンジで・・・
二人はミケを介抱しながら溜息を吐いた。
意識を取り戻したミケに謝罪したナナシは、
エルヴィンに向き直り今見せた護身術の応用の説明を補足した。
両足を拘束された状態でも対応できる場合もあると説明していると、
何故かリヴァイの方が興味深げにその話を聞いているのだから
思わず脱力してしまう。
「お主ら・・・もう護身術も見たのだから、
自分達の訓練に行け」
「・・・俺も護身術や護剣術を習いてぇ」
「私もー。思ったよりさくっと出来そうじゃん。
これなら全兵士にだって教えられるって!」