過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第39章 護剣術と護身術
確かに小柄で・・・しかも両腕が縛られたナナシの身体を
転ばせ抑え込むのはセオリーであるが、
それを予測しないナナシではない。
ナナシ的に問題なのは抑え込んでくるミケよりも、
攻撃してくるハンジの方だった。
それによって対処が変わる。
彼女はナナシの側面から蹴りを放ってくるつもりらしい。
ナナシは自分を抑え込んでいるミケの胴体に両足を絡ませると、
自分の身体ごと思いっきり捻って足でのみの投技を行った。
多分これはナナシにしか出来ない力技で
普通の人間の筋力ではなかなか難しいだろう。
クルクルと全身のバネを使いながら起き上がると、
ナナシは次の行動を起こすべく、ハンジへ足を向ける。
自分の方に転がってきたミケの身体に
ハンジがよろけながらそれを避けたが、
バランスを崩す事になりナナシはその足を払って転ばせた。
ハンジが転んでいる間に、起き上がってきたミケの顎に
強烈な蹴りを加え彼を脳震盪状態にさせると、
残ったハンジへ向き直り続きをするか問い掛ける。
彼女は引き攣った笑みを浮かべながら両手を上げ、
「降参する」と告げた。