過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第39章 護剣術と護身術
リヴァイとミケが超硬質ブレードで
身振り手振り護剣術を真似ている姿は可愛く思えたので
このままいさせてやりたかったが、
護身術を教えればエルヴィンは間違いなく
ボロボロになるので放置している訳にもいかなかった。
エルヴィンが彼らを咎めていたら
心置きなく追い出せたものを・・・と思うが、
エルヴィンはエルヴィンで真剣に型を覚えようと
集中しているので「何とかしろ」とも言い難い。
いっそ護剣術と護身術を習いたいような彼らに、
訓練の厳しさを見せつけた方が早いだろうか?
そう頭を切り替えたナナシはエルヴィンの短剣を一旦鞘へ仕舞うと、
「ハンジ達が『護身術を見ないと他の訓練が出来ない』と
我儘を言うので護剣術はまた後でやるぞ」
と嫌味を言ってやった。
その言葉にエルヴィンは不満そうに太い眉を寄せたが、
注意しなかった彼も悪いので受け流し、
持って来たロープをミケに渡した。
ナナシは後手で腕を組んで、
ミケにロープで両腕を縛るように注文すると
「本当に良いのか?」と心配そうな眼差しを向けられる。
力強く頷いたナナシを見て、
ミケは黙ってそれに従いナナシの両腕を縛った。
そう簡単には解けない強度を確認すると、
ナナシはエルヴィンへ顔を向け説明を始める。
「昨日も言ったが、この護身術は両腕を拘束された場合、
もしくは失くした場合に対応出来るものだ。
故に訓練時にはこうして縛る。簡単に言えば
この状態での対人格闘というところかな」
「その状態でどのように対処が出来るんだい?」
「足技や体全体を使ってだ」