過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第39章 護剣術と護身術
「・・・今のは私の力を利用したのか?」
動揺を瞬時に治めたエルヴィンが冷静な分析を口にすると、
ナナシは「正解だ」と口角を上げる。
頭の回転が早いとは思ったが、
あの一瞬でよくわかったものだと感心する程だ。
「正確に言えば、お主の力をそのまま利用して流し・・・
防御型から一気に攻撃型に切り替えたのだ。
短剣を弾いた瞬間、懐に飛び込んで刺してしまえば
瞬殺の出来上がりという事になる」
その言葉を聞いて思案顔になったエルヴィンに
ナナシは慌てて付け加えた。
「あ、別にお主にそこまでやれとは思ってないぞ!?
あくまで攻撃をいなす所までいけたら良いな~くらいで」
「いや、出来るなら得物を弾く所までいきたい」
志が高いのは良いが、いきなり難易度が跳ね上がった!
「待て。今のはあくまで実践での手本であって、
素人向きでは無い。基礎を重点的にして、
並行して護身術の方もやらねば・・・・。
大体いなすだけでも習得するのに時間が掛かるのだぞ!?」
「わかった・・・。君の判断に従おう」
エルヴィンが他人の判断に従うとは珍しいと思っている間に、
彼は短剣を拾い上げた。
今度からもう少しゆっくり短剣をいなさなければ、と肝に銘じる。
「今度は防御のみで数回いなすから、
私の動きを少し目に留めておいてほしい。
それが終わったらどのような動きをしているのか教える」