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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第39章 護剣術と護身術






「・・・わかった。今からそれはお主の物だ」

「ありがとう。大事にするよ」


そう言うとエルヴィンは本当に大事そうに短剣を撫でた。

その姿は一枚の絵のように美しいもので
思わず見惚れてしまったが、ナナシは自分の役目を思い出し
咳払いする。


「今からそれで私に斬り掛かって来い。本気でだ」

「待ってくれ。それはあまりに危険だ。
手本でも刃を潰した物か模造刀を・・・・」

「良いから掛かって来い」


エルヴィンの言葉を遮り、ナナシが左手に持ったナイフを構えると、
彼はナナシの本気を悟ったのか諦めるように短剣を構えた。

超硬質ブレードを片手のみで構える型のエルヴィンに隙は無く、
その表情も軍人のそれに変わっている。

多分殺すつもりで斬り掛かって来るだろうが、
そうでなければ手本にもならない。


ジリジリと間合いをはかると、
エルヴィンは一気に距離を詰めた。

扱い慣れない短剣でも器用に使いこなすエルヴィンに
ナナシは心中で賞賛を送る。

薙ぎ払う形で襲い掛かる短剣を、
ナナシはナイフでいなし弾き飛ばした。





一瞬の出来事に、ビィィィンと痺れた腕にも気づかず、
エルヴィンは呆然とする。

刃が交わった瞬間、
エルヴィンの短剣はナナシのナイフに吸い寄せられるように流れ
・・・そして、いつの間にか弾かれていた。


リヴァイ達にも具体的に何が起こったか見えなかったらしく、
リヴァイは眉間に皺を寄せながら考え込むように黙り、
ミケは一瞬目を丸くしたもののリヴァイと同じように沈思に耽る。

ハンジは「すごーい!何が起こったの!?」と叫びながら
目を輝かせていた。





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