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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第39章 護剣術と護身術





「恐らく今日護剣術と護身術を同時に教えるとエルヴィンの身体が保たぬ。
だから、今日は護剣術の基礎から教えようと思うが・・・
まずは手本を見せる」


ナナシは持っていた短剣をエルヴィンに渡し、
リヴァイのナイフを左手に持った。


「私の教える護剣術は懐に仕舞っておける長さの刃物での
応戦が基本だ。慣れればリヴァイのナイフのような刃渡りでも充分だが、
初心者にはその短剣の長さが良いだろうし両刃が好ましい。
お主に預けておく」

「・・・この短剣は・・・・・・」


エルヴィンの呟きに「気づいたか・・・」とナナシは気まずく感じた。

エルヴィンに渡した短剣はエッカルトの胸に刺さっていた物で、
昨夜ナナシが使えるように研いだものだった。


「・・・・・気味が悪いかも知れぬが今日はそれを使ってくれ。
後日、お主が自分に合う物を買えば良い」


死体に刺さっていた短剣など気味が悪くて使いたくないだろうな、と
ナナシが思っているとエルヴィンは予想外の申し出をしてきた。


「出来ることならば、この短剣を私に譲って貰えないだろうか?
この持ち主のお陰で私達は救われた。
彼がどのような人物だったか、何者であったかなど知らないが、
私はこれをお守りとして持っておきたいと思っている」


真摯なエルヴィンの言葉にナナシは泣きたくなった。

裏では違う事を考えているかもしれないが、
今は亡き同胞の形見を気味悪がずにいてもらえる事が
素直に嬉しかったのだ。

それに皮肉な事にエッカルトの胸に刺さっていた短剣は
防御用のマインゴーシュという種類で、
今からエルヴィンに教える技にはぴったりの刃だった。





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