過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第39章 護剣術と護身術
――翌日
新しい訓練メニューを兵士達が熟す中、
ナナシとエルヴィンは人払いをした訓練場にいた。
今日から護剣術と護身術をエルヴィンに教えるのだが、
ナナシはうっかり失念していた事を思い出す。
「お主・・・ナイフとか懐に仕舞っておける短剣とか持っておるか?」
「いや、リヴァイでは無いからそんなものは持っていないよ」
「おい、俺じゃないからってどういう理屈だエルヴィン」
間髪入れず突っ込んだのはリヴァイで・・・
ナナシは内心頭を抱えた。
一応エルヴィンの団長としての尊厳を尊重して人払いしたはずなのに、
何故この場にリヴァイ、ハンジ、ミケがいるのだろうかと
視線を巡らせる。
「訓練はどうした?」
「あー、勿論やるよ?
でもエルヴィンが教わる護剣術とか気になるじゃん?
それ見てから頑張るよ。というか、それ見てからじゃないと
訓練に集中出来ないし」
ハンジの言葉にリヴァイとミケが「うんうん」と
同意するように頷いている。
これは何を言っても無駄なパターンだと頭を切り替え、
エルヴィンの意見も一応聞くと「構わないよ」との事だった。
これから行われる訓練のハードさを知らない彼らに
哀れんだ目を向けながら、リヴァイに
(エルヴィン曰く彼なら持っているという)
ナイフの提供をさせた。
エルヴィンの言う通り、
リヴァイが割りと立派なシースナイフを所持していて
少し呆れた。