過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第38章 エッカルト・アーデルハイトの日記2
△月☆日
王都で壁外調査の成果を発表して数日、
やっと我ら『狼』が日の目を見る事になりそうだ。
政府が俺達を正式な軍として採用する動きを見せ始めた。
落ち込んでいた副長もそれを聞いて少し元気になったように思える。
(中略)
○月☓日
国から一兵団として承認する旨の書状が届き、
団長は王都へ向かった。
何でも連日宴が催されるらしい。
てっきり副長も一緒に行くと思っていたのに、
何故か組織に残った。
きっと団長が副長を誰の目にも触れさせたくなくて
王都には連れて行かなかったのだろう。
ぶくぶく肥え太った豚貴族に目をつけられたら大変だしな。
○月△日
団長からの連絡が途絶えて早一週間。
団長に追従した部下達からの連絡も無い。
一体どうしたのだろうか?
○月○日
留守を預かっている副長がよくわからない事をし始めた。
未成年の兵士を家に帰すようになって『第二部隊』の連中が
大分いなくなった。
『第一部隊』である兵士も日に日に離隊しているようだ。
○月☓日
副長や幹部の人が何かの書類を燃やしているのを目撃した。
熱風の勢いで飛んできた紙片から『狼』の名簿のようだと
わかったけど、何故燃やしていたのだろうか?
(中略)
□月△日
除隊を命じられた。
俺に何か落ち度があったのか?
□月○日
俺の抗議は聞き入れられなかった。
「絶対『狼』の名を出してはならない」と念を押され、
追い出された。
俺の他にも追い出された連中が大勢いて、
訳が分からなかった。