過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第38章 エッカルト・アーデルハイトの日記2
☆月○日
俺は勇気を出して副長に真偽を確かめた。
本当は副長が泣き出してしまうんじゃないかとか
色々シミュレーションして、泣いたら俺が慰めてあげようと
思っていたのだけれど・・・
副長は特に動揺する事無く「事実だ」と言った。
団長に自分以外の女性と子供を作るように言ったのも自分だと・・・。
訳が分からず責めるような口調で何故だと聞いたら、
副長は「自分は彼の子供を作れないから・・・」と
悲しそうに言われ言葉を失った。
もしも団長が死んでも、その子供がいてくれるだけで
希望になるのだと語った副長を俺は泣きながら
抱きしめていた。
俺は馬鹿だった。
そんな辛い事を言わせた自分を殺したくなった。
聞いた話によると、団長が副長の誕生日プレゼントに
何が良いか聞いたのがキッカケだったらしい。
副長は団長に他の女性と子供を作って欲しいと頼んだそうだ。
勿論団長は絶対にそれだけは出来ないと突っぱねたが、
副長も折れなかったらしい。
沢山喧嘩した結果、団長が折れて・・・自分に想いを寄せていた女性に
「貴女に愛は無いが自分は子供が欲しい。
それでも良いなら身体の関係を持とう」と話を持ちかけたそうだ。
それもそれで酷いとは思うが、団長は嘘でも他の女性に
「愛してる」とは言えなかったんだと思う。
女性に強制もしなかったらしいが、女性は承諾し、
男の子を設けたそうだ。
一度だけ副長もその赤ん坊を見たらしく、
団長のように綺麗な金髪の子供だったと幸せそうな笑顔で
俺に教えてくれた。
(中略)
△月□日
壁外調査へ出てまた多くの仲間を失った。
途中巨人の生け捕りに成功し、何らかの実験を行ったらしい。
悔しいが俺はまだ下っ端なので同席出来なかったが、
巨人生態の糸口らしきものは掴めたようで
団長は何かを考え込むことが多くなった。
△月○日
団長の子供が壁外遠征に行っている間に死んでいたらしい。
団長が帰る前に埋葬も終わっていて、
その母親の女性もショックからか自殺したという・・・。
それを知った時、何故か団長より副長の方が落ち込んでるように見えた。