過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第37章 腕相撲
「使っても問題が無いような身体を作り上げる訓練メニューを考えろ。
それがてめぇの仕事だろ?」
確かに一理あるが・・・って、
いやいや可能な事とそうでない事もあるっての!
ナナシが頭を抱えていると、耳を疑うような言葉が聞こえた。
「『狼』のメンバーはどうやって『柔剣』を使っていたのだろうね?」
色気のある低音ヴォイスでそう呟いたエルヴィンを
驚愕の眼差しで見つめると、彼は「すまない、独り言だ」と
微笑った。
リヴァイとミケが怪訝な顔を向け、
ハンジがしつこく「今のどういう意味!?」と詰め寄っていたが、
エルヴィンはそれを軽く流すだけだった。
ナナシは呆然と立ち尽くしエルヴィンの顔を見つめるしかない。
何故、エルヴィンは『狼』の事を知っているのだろうか?
やはり彼は『迅鬼狼』のメンバーの子孫で、
何か語り継がれていたのだろうか?
先程の言葉だけでは判断材料が少なすぎて真意がわからない。
問い質したいが、リヴァイ達がいる中でそれをする事も出来ず
どうするべきか逡巡していると
「訓練内容の確認は一先ず終了として、おまえ達は仕事にもどれ。
リヴァイとミケは兵士の訓練の監視、
ハンジは対人格闘の訓練だっただろう?」
とエルヴィンが、彼らを追い出しに掛かった。
三人共納得していないような顔をしていたが、
仕事や訓練があるのは本当だったので渋々部屋から出て行った。