過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第5章 地下街のゴロツキ
リヴァイとファーランはその姿を見て呆然としたが、
我に返ったファーランが慌ててイザベルの口から
団子を吐き出させようと試みるもイザベルに腹を蹴られ、
のた打ち回る羽目になった。
「何すんだよ!ちゃんと一番最初にそいつに食わせて確認したし、
俺だってもういくつも食ってんだ!毒ならとっくに回ってらぁ!」
「…そ、それなら…そうと言え」
床に突っ伏しているファーランを尻目に、
イザベルは団子をリヴァイに勧める。
「兄貴!すっごいうめぇんだ!食ってくれよ!
ダチにもそう言って貰ったのに、兄貴に食って貰えなかったら合わせる顔がねぇよ…」
しゅんとするイザベルを見ると、リヴァイは仕方無さそうに串に手を伸ばし受け取った。
確かに見たことのない菓子だと思いながら口に入れると、
ファーランが意外そうな目でリヴァイを見た。
「お、おい…おまえ潔癖なのに大丈夫か?」
「…イザベルがここまで言っているんだ。おまえも食えファーラン」
ギロリと睨んでくるリヴァイの迫力に気圧され、
ファーランも渋々団子を食べた。
口の中に入れた瞬間広がった未知の味に目を見開き驚愕する。
「な、な、な、な!何だ!?うっめー!」
「だろだろ!?だから言ったじゃねぇか!兄貴も美味いと思うだろ?」
「…………悪くねぇ…」
三人は黙々と団子を頬張り、団子を食べ終わる頃には
先程の重い空気も緩和され、三人は息を吐いた。
ファーランも少し冷静になったようで、いつもの調子を取り戻したようだとリヴァイは安堵する。
「こいつは…何て食べ物なんだ?」
「そうそ!シーナのどこで売ってんだよ?
まさか、ローゼやマリアじゃないだろう?」
リヴァイとファーランの問いかけにイザベルは
「う~ん…と」と唸りながら、ナナシの言葉を思い出して答える。
「『ミタラシダンゴ』っていうらしいんだけど、
どの店にも売ってないって言ってた」
「どういう事だ?」
「これ、そいつが作った菓子らしいんだ」
「ほぉ…」
「そいつはすげぇな」