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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第37章 腕相撲






「護剣術なら片腕のみで相手を制する事の出来る剣術で、
護身術なら両腕を拘束されても相手を倒せる足技だ。
お主は未来永劫五体満足でいられる自信があるのか?
突然、利き腕を失くした時、そこが敵の只中だったなら?
両腕を失くせば生存は更に絶望的だ。
足を失えば歩くことも儘ならぬ。
そんな時、お主はどうする?
私が教えようとしている技はお主に活路を見出す技術だ」

「君がそこまで言うなら信じるよ」


エルヴィンは異論を唱えなかったが、ハンジが首を傾げた。


「それって何でエルヴィンだけなの?
エルヴィンに同行して王都に行く兵士はいくらでもいるんだよ?
どうせなら兵士全員にその護身術って奴教えてくれれば
手っ取り早いんじゃない?」


ハンジの意見は尤もだと言えるかもしれないが、
エルヴィンに教える技はそんな生半可な気持ちで
体得できるものではなかった。


「・・・ハンジ、身体の欠損を前提とした訓練というのは
口で言うほど容易ない上、資質を持つ人間に教えても
半年では完璧に体得出来る技では無い。
恐らくエルヴィンに教えたとしても良い所で六割程度の完成度だ。
正直、他の兵士の面倒まで見切れん」

「そんなに難しいの!?」


エルヴィンは若くして団長に上り詰めた傑物だ。

どちらかというと頭脳戦を得意としているが、
肉弾戦が不得意という訳ではない。

そんなエルヴィンが六割程度しか習得出来ないとは
一体どんな事を教えるつもりなのだろうか。




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