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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第36章 模擬戦







「この血はどうしたんだ?どこか怪我でも?
正直に答えなさい」

「・・・別に・・・・・・・」


反論しようと口を開けば、
また内臓から違和感が込み上げてきて噎せ返った。

異常な咳き込み方にエルヴィンが追及を止めて
ナナシの背中を擦っていると、彼が吐血している事に気づき
息を呑んだ。


「大変だ!医者に・・・っ!」

「や、めろ!離せ!!」


血を吐くほどナナシの身体が悪いとは思っていなかったエルヴィンは
慌てて軍医の下へ連れて行こうとしたが、
ナナシから強い拒絶を受けてしまった。

今尚咳き込み続けているナナシに強行手段を取ろうとすると、
彼から「医者に見せても無駄なのだ」と言われ、困惑する。


「無駄とはどういう意味だ?君は前からそう言っ・・・て・・・・」


そこまで口に出したエルヴィンの脳裏に嫌な考えが過った。

『医者に見せても無駄』という言葉を文字通り取れば、
手遅れの状態だという事だ。

ナナシが弱っている今が数々の疑問を問い質すチャンスだと
わかっていたが、エルヴィンは二の足を踏む。

壁外で迷えば即命取りだ。

故にエルヴィンはこのように好機が巡れば即断即決を信条としていたが、
ナナシが絡むと何かが狂ってしまい普段の行動が取れなかった。



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