• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第36章 模擬戦






「掌を見せなさい、ナナシ」

「・・・っ!断る」


エルヴィンは身を引こうとする身体を強引に引き寄せ、
拳をこじ開けるように力を込めた。


「良いから見せろ。ここでは私に従え!」


威圧感の籠もった張りのある声に
ナナシの身体はビクリと硬直する。

抵抗が弱くなった隙にエルヴィンは一本ずつナナシの指を開かせ、
掌に付着した血を視認すると眉根を寄せた。


「これは何だ?」

「・・・・トマトジュースが付いただけだ」


苦しい言い訳にエルヴィンは更に眉間の皺を深くする。

このご時世、トマトジュースは高級品で滅多に手に入らないのだ。

血をそれで誤魔化そうとするなんて・・・と、苛立ちが募る。


「ほう?君は高級なトマトジュースを一人でこっそり飲んで、
うっかりそれが手に付いてしまったと?
どれ、私もご相伴に預かっても良いかな?」


エルヴィンがそう言って掌の血を舐めようとしたので、
ナナシは手を引っ込めようと力を込めたが、
彼の力は想像以上に強くそれも敵わない。

仕方なくエルヴィンの頭をガシッと掴んで阻止すると、
彼から氷のような目を向けられ言葉に詰まった。







/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp