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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第36章 模擬戦









自分と違って、絶望を前にしても心が折れないリヴァイは
紛れも無く『人類最強』だ。

腕っ節ではナナシの方が強いかもしれないが、
心の強さは桁違いにリヴァイの方が強いと思っている。

時として心の強さは腕っ節よりも強力な武器になる事を
ナナシは知っていた。


「随分と謙遜するんだな・・・少し意外だったよ」


そう言いながらもエルヴィンは心の中で、
ナナシの自身への評価が前から低い事を気にしていた。

リヴァイは「ナナシの方が自分より強い」と言い、
ナナシは「リヴァイの方が強い」と言う。

エルヴィンとしてはどちらでも構わないが、
一層ナナシを手放したくない欲が生まれた。





あれだけの強さを持ちながら消極的に生きるナナシを
何としても調査兵団に引き込みたい。



『狼』という組織の事も、『柔剣』という技の事も詳しく聞きたいが、
今それを追求するべきかとエルヴィンが考えていると、
ナナシはエルヴィンを置いてさっさと歩き出してしまった。



咄嗟にその手を掴んで歩みを阻止したものの、
ヌルッとしたものが手に付着したのを感じ、
まじまじとそれを見つめる。


ナナシは頑なに拳を作っているが、
その隙間から赤い液体が覗いているのを
エルヴィンは見逃さなかった。






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