• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第5章 地下街のゴロツキ



「っざけんなよ、あのクソジジィ!!
仕事依頼をキャンセルするだとぉぉぉっ!?」

「…るせーぞ、ファーラン」


眉間に皺を寄せながら不機嫌そうに小柄な男が、
叫びながら部屋内を忙しなくウロウロするファーランを一瞥する。


「だってよ、リヴァイ!今回の報酬はすっごく良かったんだぞ!
当分遊んで暮らせるだけの金が手に入ったってのに…っ!」


ファーランはいつもならこんなに声を荒げる男ではない。

野心はあるものの下手を打たないように機転を利かせる事が上手い彼は、
今回の事に対してどうにも納得がいかないようだ。

更に何か言おうと口を開いた瞬間、
外から帰ってきたイザベルがファーランを怒鳴りつけた。


「うっせーぞ、ファーラン!外までてめぇの声が丸聞こえだ、
バーカ!」

「馬鹿とは何だ!頭の悪いおまえはすっこんでろ、
イザベル!」

「なんだとぉぉぉっ!」


帰ってきて早々喧嘩腰になる二人に溜息を吐きながら、
リヴァイが諌めると二人は途端に静かになった。

静かになった所でイザベルが首を傾げながら疑問を口にする。


「で、ファーランは何をそんなに叫んでたんだよ」

「はぁぁ?わかってないのに俺に食って掛かってきたのか、
おまえは!」

「るせーな、どうせファーランが悪いんだろ?」

「イザベル…喧嘩売ってんのか?」


また喧嘩腰になった二人を面倒臭そうに見つめながら
リヴァイが静かな口調でイザベルに説明してやる。

これはいつもならファーランの役回りのはずだが、
とは思ったが冷静さを欠いているファーランの気持ちもわからなくはない。


「報酬の良い仕事を断られたらしい」

「はぁぁぁぁ??何だよ、それ!ちゃんと交渉してたのかよ、
ファーラン!」

「当たり前だろ!大体向こうから持ち掛けてきた儲け話だったんだよ!」

「とか言って、おまえが欲をかきすぎたんじゃねぇの!?」

「んな訳ねぇだろ!」


また言い争いを始めた二人にリヴァイは「おい」と声を掛けると
抑揚のない声で淡々と話し始める。


「ファーラン、仕事内容は聞いていなかったんだろ?」

「あ、あぁ…詳細はまた後日って事だったからな」

「その癖、報酬だけは良いって話は、きな臭せぇ。
どうせろくな仕事じゃなかったはずだ。
かなりのリスクが伴うヤバイやつ…とかな」


/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp