過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
「・・・明日予定通り模擬戦をしても良いが、ハンデが欲しい」
「どのようなハンデだ?」
「まず人数だ。相手に出来るのは5人がやっとという所だ。
出来れば誰とやるかの情報も欲しい」
「それは構わないが、
その怪我で5人の相手をしようとしている君に驚きだよ」
「圧倒的な力を見せつけなければ模擬戦の意味もないだろう?」
「そうだね」
心配しているのか、していないのか・・・。
微苦笑するエルヴィンの本心がどこにあるのかわからないと思いながら
ナナシは貰いたいハンデを言った。
「あと、何でもありだったら問題ない」
「何でもあり・・・というのは?」
「立体機動だけじゃなく、
様々な戦法を用いた模擬戦なら勝てると言っているんだ。
例えば、立体機動を装備していながら使わないで、
殴り倒す・・・とか」
その言葉にエルヴィンは一瞬キョトンとして見せたが、
次の瞬間盛大に吹き出した。
珍しく声を上げて笑うエルヴィンに、リヴァイ達は目を丸くする。
「その条件で構わないよ。相手の人選は私が決めるが、
誰とやるかは後で教えよう。
そうすれば、勝ってくれるんだろう?」
「おい、良いのかエルヴィン」
「良いじゃないか。壁外では常に予想外の出来事に溢れている。
模擬戦もそうあるべきだと私は考えているが、
ミケは違うのか?」
「臨機応変に対処出来るようにというのはわかるが・・・
いくらなんでも5人を相手にするのは・・・」
「私はナナシを信じるよ。彼が出来ると言うのだから、
それに賭けるさ」