過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
「脇腹が痛むか?リヴァイに蹴られては骨が折れているだろう。
今直ぐ軍医に・・・・・・」
「かなり痛いが骨は折れておらぬ。
少し休めば動けるようになるさ」
重い息を吐きながらそう伝えると、エルヴィンの片眉が上がった。
「私はリヴァイの身体能力を知っている。
私やミケのように鍛えられているならまだしも、
君のような華奢な身体がリヴァイの蹴りに耐えられるとは思えない」
「見た目は細くても私だって鍛えられているぞ?」
「・・・それに明日団員に君を紹介するに当たって
模擬戦を考えていたんだ。今のままでそれが可能かい?」
「今それを言うところが鬼だな。もっと早く言ってくれ」
いつかは模擬戦をやらなければならないだろうとは思っていたが、
今の状態では少しきついものがある。
強さが物を言う調査兵団では一見弱そうに見えるナナシから、
教えを請おうとする者は少ないだろう。
だから強さを証明し従わせなければならない。
団長であるエルヴィンが命令したとしても
ナナシが反感を買うだけでしかないのだ。
これは少しハンデを貰う必要がありそうだと溜息をついた。