過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第34章 報告したが故に・・・
「ダメだ、エルヴィン。あいつが実家に帰ったらどうするんだ?
まだ3日目だぞ」
「そう・・・3日も同じ屋根の下に住んでいて、
まだ手を出せていない」
「おい、てめぇ何考えてやがった?3日『も』って何だ?
手を出した時点でお終いなんだぞ?」
黙って聞いているのが我慢ならなくなってきたリヴァイも
口論に参戦すると、更に泥沼の様相に変わる。
「いや、俺の持てる限りのテクニックを駆使して
ナナシを落としてみせる!もう他の男の所へ行けないように・・・」
「待て、おまえの女じゃねぇだろ。女ですらねぇが・・・」
「冷静になれ。エルヴィンのテクニックとやらを使う以前に
そこまで持ち込めないだろう?それともあいつは、
おまえを黙ってベッドに招き入れるのか?」
エルヴィンのツッコミどころ満載の台詞に二人が畳み掛けるように
説得(?)を試みるが、彼は立ち上がると仮眠室の方へ足を向けた。
「ミケ、リヴァイ・・・私は巨人も恐れない調査兵団団長だ。
ナナシが恐くてどうして領土奪還が出来るというんだ?
ここで諦めては、人類の反撃も絵空事として終わってしまうだろう」
「え、エルヴィン・・・?」
毅然とした態度で扉の前に立つのは紛れもなく
団長の顔をしたエルヴィン・スミスだ。
何だろう?言っている事は立派なようでいて・・・違う気がする。