過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第34章 報告したが故に・・・
「ナナシの様子がおかしかったが、今日何かあったのか?」
「兵士に追い掛け回された以外は普通だったと思うが・・・」
ミケは今日一日のナナシの行動を回想してみるが、
特記する事項は無かったはずだと改めて考えた。
そう言えば、リヴァイ班の二人が倒れたことに凹んでいたなと思い出したが、
それをエルヴィンに教えるべきかと思案する。
ここで『ナナシの笑顔は勃起する程色気がある』と教えてしまったら、
病気としか言えないエルヴィンのセクハラ攻撃が
ナナシに襲いかかるだろう。
それは色々な意味で何としても避けたい。
友人が犯罪者になる事も、ナナシにボコられる姿も見たくはないと
ミケが口を噤んでいると、乱暴なノック音と共にリヴァイが
入室してきた。
「おい、ナナシはどこだ?今日ペトラとオルオが倒れたらしいじゃねぇか。
本人達に聞いても何も言いやしねぇから、
あいつから仔細を聞きたいんだが・・・・」
部屋を見渡すリヴァイにミケはギクリと身体を硬直させた。
ピンポイントで避けていた話題をここで持ち出されるとは
何という悪夢だ・・・・。
「ほう?それは報告されていない事案だ。
非番だったミケがナナシに付き添っていた事も、
ついでに説明してもらおうか。な、ミケ?」
空気が凍りつきそうな声色で告げたエルヴィンが
ちっとも笑っていなかったので、
ミケは全ての希望を捨てる。