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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第34章 報告したが故に・・・







「どうした?突然蹲って・・・」

「体調が悪いのか?辛いなら私の仮眠室を使うと良い」

「・・・ぅ・・・・・・・・・・何でもない」


『理想の男云々を考えていました』なんて恥ずかしい事を言えず、
顔を赤くしながら遠慮するとエルヴィンが椅子から立ち上がって、
ナナシの額に手を当てた。


「顔が赤いが・・・熱は?体調は本当に大丈夫なのか?
もしもの事があるといけないから、今すぐ軍医を呼んで診てもらおう」

「い、いや!本当に体調は問題ないから軍医も呼ばなくて良い」

「だが・・・顔がどんどん赤くなっているようだぞ」


それは普段見ないイケメンなエルヴィンを沢山見たせいだ。

好みの外見を間近で見るのは割りと緊張するもので・・・
しかも今は変態的な行動は一切取っていない
貴重なエルヴィン・スミスとも言える。

前には感じなかったエルヴィンに対する考え方に、
調査兵団に来るにあたって表情や感情が出るようにした事が
裏目に出たようだとナナシは少し後悔した。


「・・・・死なない程度でどうにかならないかと言っておったのに、
過保護だな」

「助かる命は助けたいだけだ。こんな事で君を亡くすのは本意ではない」


それは『死に場所はエルヴィンが用意する』という意味だろうか?

そんな疑問を持ちながら見ると、
彼からは穏やかな笑みを返されただけで何も言ってこなかった。

多分、ナナシの考えは間違っていないと直感的に思ったが、
エルヴィンを批難する気にもならない。


人の上に立つという事は、それだけ多くの何かに耐え、
自分の何かを切り捨てているはずなのだ。

自分から半年間とは言え調査兵団に入ったのに、
文句や批難をエルヴィンに浴びせるのはお門違いである。






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