過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第34章 報告したが故に・・・
このまま黙っていたとしても余計騒ぎが大きくなるだろうという
ミケの判断は多分正しい。
話を聞いたエルヴィンは思案顔になり「困ったな・・・」と呟いた。
「ナナシを狙う男が増えた・・・という事か」
「違う。おまえが食費をケチっていたせいで兵士が暴走しているだけだ」
顔に絶望線を浮かべながらエルヴィンの言葉を訂正したミケは、
大きく溜息を吐くと切実に訴えた。
「今度の予算が取れたら絶対食費にも回せ。
あとナイルの所から料理人も連れて来い。
あいつを脅すネタはいくらでも持っているだろう?
今使わずにどうする。調査兵団がこんな下らないことで
解散しても良いのか?」
「解散させないように努力しよう。
ナイルには良い料理人を紹介してもらえるように働きかけるさ」
「そうしてくれ」
真面目に受け答えするエルヴィンをジッと見つめ、
ナナシは「普通にしていればイケメンなのに・・・」と
残念な思いを抱いていた。
ナナシにしてくる変態的な言動を抜きにすれば、
割りと好みだったりするのだ。
金髪碧眼の容姿や、低い声も色気たっぷりで実に良い。
仕事の時見せる、腹黒い笑みもそれはそれで眺めていたいと思うのに・・・
何故自分と対峙する時だけ言動がおかしくなるのかと残念に思う。
あれだ・・・エルヴィンの容姿に、
エルヴィンとミケとリヴァイの性格を足して
それぞれ二で割ってぶち込んだら、
理想の男が出来る・・・みたいな?
我ながら最低な事を考えているなと悶えていると、
怪訝そうな2つの視線を感じて我に返る。