過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第34章 報告したが故に・・・
「それで・・・言い分を聞いておこうか、二人共?
報告によるとナナシがミケを侍らせていたようだが?」
夕食前にエルヴィンによって呼び出されたナナシとミケは、
恐い笑顔を向けてくるエルヴィンに何と言おうか考え倦ねていた。
別に侍らせていた訳ではなく、守ってもらっていただけなのに・・・。
「斯く斯く然々で、そう見えてしまったようだ・・・」
「説明を省いてはいけないよ?君の悪い癖だ」
ナナシの言い分をバッサリ切り捨てたエルヴィンは、
ミケに顔を向け説明を求める。
「・・・・・斯く斯く然々で、そんな噂が立ってしまったようだ」
「ミケ・・・君は仮にも分隊長だろう?
報告は正確さと簡潔さが重要だと思うが、
君の報告は簡潔さしか無いように思える」
冷たく言い放つエルヴィンにミケは変な言い訳は出来ないと判断し、
ありのままを言うことにした。
「・・・・・・・・・・・・ナナシが指名手配されていた」
「ミケっ!」
「・・・どういう事だ?」
ミケの発言を黙らせようとするナナシと、
先を促すエルヴィンとでは後者を選んだ方が得策だと、
貼り紙があった事や兵士達がナナシを捕まえて
夕食を作らせようとしていた事を告げた。