過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第33章 指名手配?
「あれから団長に食事改善の嘆願書を送ったり色々してたんだけど、
先輩と相談してたら君を見つけた方が早いって結論になってさ。
お願いだから今日の夕飯作って!」
「断る。色々忙しい」
「そんな事言わずに、調査兵団を救うと思って!!
他の当番とかで忙しいなら俺が代わりにやるから!」
終いには土下座してきた新兵Aに乗っかって、
最初に話し掛けてきた兵士達も
「こんなに頼んでいるんだから・・・」と詰め寄ってきた。
気づけば廊下には人集りが出来始めていて、
逃げなければという思いに駆られる。
「・・・何の騒ぎだ?」
やっとトイレから出てきたミケに思わずしがみつくと、
状況を飲み込めていない彼は怪訝な表情で周囲を見渡した。
「何故か私の指名手配の貼り紙が貼られていたのだ」
「・・・何の話だ?」
「ミケ分隊長!お話があります」
萎縮しながらミケに話し掛けた先輩兵士は、
自分より遥かに大きい男を見上げ力強く言った。
「大人しくその子を引き渡して下さい!
自分達は人並みの夕食にありつきたいだけであります!」
ドン!と拳を胸に当て敬礼した先輩兵士に
周囲から変な歓声が起こる。
ミケは突然突き付けられた要求に首を傾げたが、
廊下に貼ってある貼り紙に気づきやっと状況が飲み込めた。