過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第33章 指名手配?
一度見た兵士の顔を覚えているナナシの頭に
銀髪碧眼の人物が一向に浮かんで来なかったので、
困惑した。
「あのさ、取り敢えず君の名前は?所属はどこ?」
「二日前に夕食作ってたよね?」
「遠目でしか見られなかったけど、
あの時厨房にいたのは多分君だったよ」
確かに二日前に夕食は作ったけど、
それで指名手配される意味がわからない。
貼り紙によれば、
銀髪の新兵を見つけたら美味しいご飯にありつけるんだよな?
つまり
【その新兵がご飯を作る】→
【その新兵がもしも自分だったら?】→
【自分がご飯を作らなければいけない】→面倒くさい!!
・・・・何でこんな事になったのだろうか、と疎いナナシが
やっと真相に気づいた時には、
二日前に厨房で一緒にご飯を作った新兵Aが
遠くから物凄い勢いで走ってくるところだった。
新兵Aは先輩兵士を押し退けると、
ナナシの手を握り「やっと見つけた!」と嬉しそうに笑った。
「団長に連れて行かれてから君が全然見つからないから、
どこに行っちゃったのかと心配したんだ!」
正確には呼び出しに近いが、黙っておこう。