過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第31章 本来の目的
「・・・・・・心臓?」
怪訝な表情で見つめてくる4人に真剣な眼差しを向けながら
説明した。
「別名『不死の心臓』とも『王者の心臓』とも呼ばれている代物だ。
何でも手に入れれば、持ち主に栄光が与えられるとか
言われているらしい・・・」
「そんな物が存在するとは・・・」
「まぁ、実際そんなのは迷信だがな。名前負けも甚だしい」
「・・・・・・・」
「それでも、ネクロフィリアの間では絶大の人気を誇っておる。
なんせ、その心臓は身体を無くしても尚動き続けているからな・・・
変態達は生ける屍に興奮を覚えるそうだ」
「・・・・えっ!?動いてるってどういう事っ!?」
「その心臓は一体どういう物なんだ?」
何故そんな心臓をナナシが欲しているのか。
何の価値も無さそうな代物を必死に探す理由がわからない。
好奇心の塊であるハンジは興奮したらしく、
身を乗り出して目を輝かせた。
ナナシは面倒になりそうなハンジには目を向けず、
エルヴィンに顔を向けた。
「・・・とある人物から取り出された心臓でな。
ホルマリン漬けとなった今でも生きているかのような脈動を続けている」
「・・・・・・・・」
何とも不思議で・・・・グロい代物だ、と4人は思った。
心臓が動く謎を解明出来れば巨人研究の役に立つだろうか?
とも思ったが、真っ当な神経をしていれば触れたいとは思わない。
「それは・・・君の愛する男の心臓なのか?」
エルヴィンが声を硬くしながら尋ねると、
ナナシはやれやれ・・・・と肩を竦めた。
聡い男は面倒だ。
これに答えてしまったら、完全にナナシの弱みとなってしまうが、
誤魔化しはきかないという事もわかっている。