過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第31章 本来の目的
「エルヴィン・・・わかっていると思うけど、
これに目を通してね」
ナナバが持って来たのは、食事に関する嘆願書やら意見書だった。
仕方なくそれに目を通してみたが、
ほぼ昨日と同じような事が書かれていて、
調査兵団の兵士がここまで食事に不満を持っているとは
思わなかったと脱力する。
下手に美味しいものを食べると、
それまでの粗食に耐えられなくなるらしい。
4人の兵士が食事当番をすっぽかしたせいで、
思わぬ誤算が生じたものだと頭が痛くなった。
「・・・・ナナシ、今度から食事も作ってくれないか?」
「それは契約にないぞ。その前に食糧とかぶんどってこい」
「ぶんどって来るから、暴動が起きる前に何か作ってくれ」
「大袈裟な・・・」
今まで食事を疎かにしていたのが悪いのだと切り捨ててやると、
一層エルヴィンの顔が苦渋で歪む。
ナナシの料理はあくまでも趣味で、凝った料理は出来ないし、
食材と調味料さえあれば誰でも出来るものだと思っている。
事実シンプルな料理しか振る舞う事が出来なかったのに
そこまで褒められると、ナナシの料理の腕ではなく
普段から不味いものを食べさせられている調査兵団の兵士に
問題があると考えた。