過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第30章 血を吸う
ずっとこのままで居たいな・・・と思った所で、
執務室のドアが勢い良く開かれた。
「エルヴィーン!夕飯持って来たよ~!」
元気良く入室してきたハンジだったが、
眼前の光景を見ると硬直するしか無かった。
執務椅子に座っているエルヴィンにナナシが伸し掛かっている様は、
どう見てもラブシーンにしか見えなかったからだ。
良い具合にエルヴィンがナナシの腰を抱いて、
その首筋に鼻を埋めている。
しかも、ナナシがそんなエルヴィンを文句も言わず
放置している事から合意だとしか思えないのだ。
「・・・・・あー・・・うん、ごめん。
お楽しみ中だったんだね・・・・」
気まずそうに言ったハンジの背後からは
リヴァイとミケも顔を覗かせ、絶句しているようだった。
このままでは色々まずいと感じたエルヴィンは、
残念に思いながらナナシを引き剥がそうと声を掛ける。
「ナナシ、そろそろ血を吸うのはやめなさい」
ポンポンと背中を叩いてナナシの顔を覗き込むと、
トロンと恍惚とした表情をしていてエルヴィンは思わず息を呑んだ。
いつもの無表情とは違い、情事後のように頬を紅潮させている様は
異様な色気があった。
他の人間にこの顔を晒すのは非常にヤバイだろう。
確実に欲情する。
・・・かくいうエルヴィンも相当下半身がヤバイ事になっているのだが、
理性でそれを抑え込んだ。
ナナシの正気を取り戻させる為にはどうすべきか・・・・。
考えを巡らせた結果、激昂させるのが手っ取り早いと判断して、
エルヴィンはナナシのお尻を揉む事にした。