過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第29章 綺麗な物語は万人に受け入れられる
「どういう事でしょうか?」
グンタがそう尋ねると、
「話しておきたかったのはその事なんだ」とエルヴィンが
本題に入る。
「ナナシ・・・いや、『彼女』は自分が男だと思い込んでいる。
『彼女』の裸を見たことは?」
「ありません」
昨日再会したばかりで、そんな暇あったはずがない。
ペトラが何故そんな事を聞くのだろう?と怪訝な表情で答えると、
エルヴィンはそれに満足そうに頷いた。
「私も無いが、『彼女』は自分の身体を他人に見せたがらない。
それも異常な程に。『彼女』をここに迎える条件の中に
『裸を見てはいけない』というものがあった。
裸を見られるくらいなら死んだ方がマシとも言われていてね」
・・・・それは確かに異常だ、と4人は思った。
何故そこまで身体を見せたがらないのだろうと考えていると、
エルヴィンからその答えが与えられた。
「『彼女』には・・・・愛した男を失った過去がある」
改めて聞かされるナナシの過去に驚いたが、
それよりもエルヴィンが辛そうにしているのが気になった。