過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
「その綺麗な花は何だい?」
「あぁ・・・これはリヴァイに作った飴細工だ」
リヴァイ用だと思い込んでいたトレイには
エルド達にあげた飴細工と同じ物を乗せていて、
エルヴィンが興味深げにそれを見つめていたが、
「リヴァイにあげる」という言葉に眉根を寄せる。
「・・・リヴァイに?何故?私にはくれないのかい?」
「お礼だ。部屋を掃除してくれたり、
ストーカーに苦情を言いに行ってくれたりと世話になっているからな」
「私だって君にプレゼントを・・・」
どこから出したのかエルヴィンがピラッと例の下着を翳すと、
ナナシはそれを勢い良く奪った。
「こんな物喜ぶはずなかろう!?嫌がらせとしか思えんわ!
今度やったら実家に帰る」
「そう言わないでくれ・・・私も一生懸命選んだんだ」
「どの面下げてこの下着を買ったのか、多少興味はあるが
何も言わなくて良い。居た堪れなくなる」
「冷たいな・・・」
「五月蝿い」
そう言いつつ紐パンを懐に仕舞うナナシに、
エルヴィンは笑顔を向けた。
「貰ってくれるんだね、嬉しいよ」
「捨てるのは勿体無いからな。
有意義な活用法を思いついただけだ」
「有意義な活用をするなら、是非ともその下着を着けて私に見せて・・・」
「変態が。男である私より女にやるべきだ」
そう吐き捨ててやると、
エルヴィンは情けない表情をして肩を竦めた。
どこまで本気で言っているのかわからない男だと思いながら、
飴細工をエルヴィンのトレイに乗せてやると
彼は目を見開いて驚いているようだった。