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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第28章 新兵の料理






ノックするとすぐにエルヴィンが扉を開け、
ナナシが持っていた2つのトレイを受け取り
中に入るように促した。

てっきりエルヴィンとリヴァイの分の食事だと思っていたのに
執務室には誰も居らずナナシは首を傾げ、
エルヴィンを見遣ると彼は「座って」とソファを指差す。


指定されたソファの前のテーブルにはトレイが置かれていて、
自分が座ってはリヴァイが困るではないかと眉を顰めた。


「リヴァイは?」

「うん?別に呼んでいないよ」

「・・・は?」


言っている意味がわからないと目で訴えると
エルヴィンは笑顔で「運んでもらったのは私と君の夕食だよ」と
語った。

呆然と立ち尽くすナナシに痺れを切らしたエルヴィンは、
ナナシを強引にソファに座らせると
「当然だろう?」と笑みを深める。


「君は今あまり目立つべきではない。
食堂で食事をしては顔を覚えられてしまうだろう?
だから、暫くの間ここで食事を取りなさい」

「自分の部屋で食べる」


トレイを持とうとすると、
エルヴィンに手を捕まれ強い眼差しを向けられた。


「我儘は許さないと言ったはずだ。
ここで食事を摂る際、情報交換を行いたい。
私も忙しい身だから、こんな時にしか時間を割けないし、
今後兵団生活を送るにあたっての注意も徐々にしていきたいんだよ」


エルヴィンの言う事は尤もだ。

情報は何より武器になるし、知らないことも多いのでナナシは
彼の言う事に従い、向かいのソファに腰を下ろした。






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