過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
「大丈夫か?オルオ・・・ってあれ?」
「何であなたがここに?さっき団長が探してましたよ」
グンタとエルドもナナシが厨房にいる事を怪訝に思い、
首を傾げる。
「今会ったから問題ない。それよりメシか?」
「そうですが・・・」
「ちょっと待ってろ」
手際良く全ての料理をトレイに乗せ、
おまけに自前の飴細工の菓子をつけ手渡すと3人は目を丸くした。
鼈甲色をした飴は綺麗な花の形をしていて
食べるのが勿体無いくらいの出来前だった。
「あの・・・これは?」
「今日の礼と、4日間付き合わせる詫びだ。さっき作った。
ついでにペトラにも渡しておいてくれ。
私はこれから団長室に呼び出されていて、渡せそうにない」
そう言うとナナシはグンタのトレイに、
もう一つ飴細工を乗せた。
「あんたがこれ作ったのか!?」
「凄い出来前ですね…ペトラも喜びますよ」
「ありがとうございます。甘いものは高いでしょうに・・・」
オルオ、エルド、グンタを見送ると、
ナナシは二人分の食事を手に団長執務室へ向かった。