過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
「良い匂いがする・・・」
「えっ!?マジで!?」
ミケが鼻をスンスンと動かしながらそう言うと、
ハンジは厨房へ走り出した。
ミケの鼻程頼りになるものはなく、
一体どんな進化があったのだろうかという好奇心に襲われる。
厨房が近づくとミケの言う通り良い匂いが漂ってきて、
ハンジの腹の虫が盛大に鳴った。
「やっほー!こんな良い匂いをさせてるなんて、
どっかで料理でも習ったのー・・・か・・・な?」
厨房の扉を開け放ち、開口一番そう叫んだハンジだったが
厨房内にいる面子を見るや否や、
声が尻窄みになっていった。
「ハ、ハンジ分隊長!?」
厨房にいた新兵達はハンジの乱入に驚愕し作業を止めて敬礼したが、
すぐに「手を止めるな」という声が掛けられ身体を硬直させた。
「ハンジ・・・邪魔だから出て行け」
「・・・・・・・・・・・・・何してるの?」
ハンジの眼前には大鍋を掻き回すナナシが居り、
ハンジを追ってきたミケとナナバもその姿を認めると驚いた。