過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
「お腹空いたよ~」
嘆きながら廊下を歩くハンジに、
ナナバとミケは肩を竦める。
「もうすぐ夕食の時間じゃないか」
「まだ30分はあるじゃん。今日の当番って誰だっけ?」
「・・・イェフとダニーロ、ドーラ、ハイケの4人だ」
ハンジの問いに答えたのはミケで、
ハンジは「うわぁ・・・」と顔を顰めた。
「何、その最悪な組み合わせ。
うちで料理が出来ない奴らが揃ったって
美味しいご飯なんか出来っこないよ!
エルヴィンももうちょっと考えて当番考えてもらいたいね」
「ハンジ・・・これはエルヴィンが決めたんじゃない。
たまたま運悪くそうなってしまっただけだ」
この4人は兵団の中で料理当番にしてはいけないベスト5に入る名前で、
彼らの名前が料理当番に上がると食堂が葬式のように
なることで有名だった。
ミケやナナバも、
内心では今日の夕飯は外に食べに行こうかと考える程で、
ハンジの意見には概ね賛成である。
ただハンジが責めたエルヴィンは冤罪だ。
料理当番はグルグルと巡り回ってくるもので、
本当にたまたま最悪なメンバーが揃ってしまっただけなのだ。
今回とは逆パターンで料理の上手いメンバーが揃った時には、
最高な思いが出来る場合がある。
「ねぇ、厨房覗きにいかない?
それで今日の夕飯が絶望的だとわかったら、
外に食べに行こう!」
「それは良いかもしれないね。
食費も莫迦にならないし、大丈夫そうならそれに越したこと無いし」
「・・・賛成だ」
そう言いながら3人が歩いていると、
食堂に近づくに連れて人が多くなっているのに気づいた。
どうやら皆考える事は同じらしく、
敵情視察に来ているようだ。