過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
強引に連れて来られたのは厨房で・・・・
ナナシ以外にも難癖を付けられて
連れて来られた新兵と思われる少年少女が数人いた。
「おら、花嫁修業させてやるんだからありがたく思えよ!」
ドンッと背中を押され調理場にぶち込まれたナナシは
心の中で「男なんだけど・・・」と思ったが、
面倒くさいので反論はやめる。
先輩兵士達は笑いながら去っていき、
残された新兵達は重い息を吐き出した。
「あなたも無理矢理連れて来られたんだね」
「あぁ」
「これからどうしよう?作らないと怒られちゃうよ~」
「誰か料理出来る奴いるか?俺全然ダメなんだけど・・・」
「本当なら先輩に教えてもらいながら、作るって聞いたのに・・・」
男2名、女1名の新兵は絶望に打ちひしがれているようで、
その場から動こうとしない。
会話から察するに、このメンバーで料理が出来る人間が
いないようだ。
それは確かに絶望的である。
ナナシは仕方なく、食糧と調味料のチェックをし始めたが、
調査兵団にはろくな調味料が無くイラッとした。
食糧はまぁ仕方ないと思う。
何せ貧乏兵団と言われるくらいだから期待する方が悪い。
しかし、ここまで調味料が無いとなると話は別だ。
食事軽視は頂けない。
あの小童団長、食費削り過ぎだろう!
食事は身体の資本だというのに、
あの男は一体何を考えているのだ!?
後で説教せねば・・・と心に決め、
ナナシは自前の調味料を使うことにした。
「おい、こっちとこっちの大鍋に湯を沸かせ。
二人はここにある野菜の皮を剥いて一口大に切れ。
野菜カスは捨てずにこっちの大鍋に入れろ。
お主は私の補助をしろ」
急に仕切りだしたナナシに戸惑いつつも時間が無いので
新兵は慌てて従った。