過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
夕食までにまだ時間があるな、と廊下を歩いていると、
後ろから「おい、おまえ」と声を掛けられ、
そちらを振り返るとそこには2名の兵士がいて
偉そうな態度を見せる。
「見かけない顔だが新兵だな?
おまえ今から厨房に行って食事を作ってこい」
「・・・・・は?」
どうやら、ナナシの容姿から新兵と勘違いしたらしく
横柄にそう言われ困惑する。
確か調査兵団には料理人を雇う余裕がなく、
食事などは当番制だったはずだ。
非正規に雇われたナナシに当番など回ってくるはずがない。
「私は当番ではない・・・・・です」
ついいつもの口調で話しそうになって、
ナナシは無理矢理敬語を作る。
ここで面倒を起こせばデータ集めが難航し、
最悪この二人から暴力を受けるだろう。
・・・まぁ、やられたら倍返しにする気満々だが。
「おまえ先輩の言う事に逆らう気か?
新兵は留守番だったから良いものを、
俺達は先の壁外調査で怪我を負っているんだ」
「口答えせず、とっとと来い!」
ぐいっと腕を引かれ歩かされたナナシは、
やれやれ・・・と気付かれないように溜息を吐く。
問題を起こさないようにするには言う事を聞くしか無いようだ。
これだから軍隊は嫌いだ。