• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第28章 新兵の料理







日が暮れ始めた頃、
ナナシに付き合っていたリヴァイ班は
彼への認識を再度改めようと心に決めていた。


訓練場で沢山のデータを集めるナナシの姿を目の当たりにして、
只者ではないと思ったからである。

彼はノートにデータを書き込みながら目を動かし、
更に違う兵士の分析も同時進行で行っていたようで、
あっという間にノートが文字で埋め尽くされていった。


リヴァイ班は彼の邪魔にならないように傍らに控え、
半ば荷物持ちになっていたが、
ナナシの観察眼を前にすればオルオも不平を漏らさない。

時折、兵士の名前を聞かれるくらいで
会話らしき会話は無かったものの、
不思議と一緒にいて不快感を覚えなかった。




訓練を終えた兵士が兵舎に引き上げるのを見て、
ナナシ達も兵舎へ歩き出した。

兵舎に着くとエルド、グンタ、オルオは何かの当番だったらしく、
慌ただしく走り去っていき残されたのはペトラとナナシだけだった。


いきなり二人になってしまい、
どうしようかと途方に暮れたペトラだったが、
何気なく世間話を振ってみるとちゃんと答えてくれるナナシが意外で、
ついつい食堂で話し込んでしまった。

無表情ながらちゃんと答えてくれるナナシに安心していると、
女性兵士がペトラに話し掛けてきて仕事の相談を受けた。


どうやら物資管理について聞きたかったらしく、
倉庫まで行かねばならなくなりそうだと弱り果てていると、
その様子を見たナナシが席を立った。


「部屋に戻るから・・・行って良い」

「すみません、では行ってきます」


彼女にも仕事があるのだから謝らなくて良いのに、
と思いながらナナシは食堂を出た。




/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp