過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第27章 真の変態は誰だ?
ナナシをリヴァイ班の下へ連れて行かねばならなかったので、
4人が訓練している場所を目指す。
黙々と歩いていると、やがて広い訓練場へと辿り着いた。
今はリヴァイ班が貸し切っているので周囲には他の兵士はおらず、
彼らが吹かすガスの音やワイヤーの音しか聞こえない。
上を見上げると4人が連携して対象物を攻撃しているのが見え、
ナナシは早速それを観察し、持っていた分厚いノートに
データを書き込んでいった。
4人から視線を逸らさないまま、
手を動かしノートに文字を書き込んでく姿を隣で見ていたリヴァイは
人間業じゃねぇな、と思いながら彼を見習い4人の動きを目で追った。
暫くするとナナシの手の動きが止まり、
ノートが閉じられた。
データ収集が終わったのだとわかったリヴァイが4人に声を掛けると、
彼らはすぐにリヴァイの下へやってきた。
嬉しそうにリヴァイを見つめる姿は犬のようだと失礼な感想を抱きながら、
ナナシは静かにその様子を窺う。
まだナナシの事を話していないらしいので、
大丈夫なのだろうか?という心配もあった。
「おまえらにやってもらいたい事がある」
「何でしょう、兵長。兵長の言う事なら何でもします」
紅一点のペトラが頬を朱く染めながら、
そう言うと他の3人も同意するように頷いた。
「そうか、じゃあおまえら今日から4日間ナナシの仕事を手伝ってくれ。
訓練や仕事の合間、交代で構わねぇ。
こいつを一人にするな」
「え?」
4人が一斉にリヴァイの隣にいたナナシを凝視し固まった。
どういう事なんだろう?と表情が戸惑いを表していたので、
ナナシはリヴァイにもっと詳しく話せと促した。