過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第26章 エッカルト・アーデルハイトの日記1
△月○日
団長の株が下がり、
副長の強さを目の当たりにしたあの出来事より数日・・・
たまたま副長と話す機会が出来た。
マジ可愛かった。
これが団長の恋人じゃなかったらな~と思ったけど、
ここで諦めなければ良いんだと思い直した。
団長は完璧な人じゃない!
副長にフルボッコされるくらいなんだから
俺にも希望はあると考えた。
副長は俺の顔をジッと見つめて「ソロモンは弱くない」と言った。
最初誰のことかわからなかったけど団長の名前だったと思い出し、
二人の親密さを感じて辛かった。
△月△日
団長は王族や貴族、
または裕福な商家の出だと言われているが、
本当の事はわからない。
教養やマナー、気品はあるなとは思う。
あれだけボコられたはずなのに団長の顔には傷ひとつ無かった。
知らない内に凝視していたらしく、
視線に気づいた団長が笑いながら
「いつも顔だけは避けてくれるんだけど、服の下は酷いんですよ」と言った。
何で考えてる事がわかったのかと聞いたら
「毎年、君のように聞きたそうにしている子がいますからね」と笑った。
いや、それ・・・毎年やってて懲りてないって事ですよね?
がっかりですよ、団長。と呆れた。
「こうやると、団員が親近感湧くらしくてね」
そう言った団長は寂しそうだった。
団長は何でも持っている人だと思ってたけど、
実際は違うのかもしれない。