過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第25章 腹の探り合い
「一つ直して貰いたいんだが、
これからは私の事は『小童』や『坊』とは呼ばないで名前で呼んで欲しい」
「何故だ?」
「私はこれでも団長だ。
それを小童と呼ばれたのでは立場上問題がある。
リヴァイやミケ達もできるだけ名前で呼びなさい」
「一理あるな。努力しよう、スミス団長」
「・・・・・・・・・・・」
呼び方を直したもののエルヴィン的には不本意な訂正の仕方に、
握り締めていた手に力を込めながら凄絶な微笑をナナシに向ける。
「『エルヴィン』か『エルヴィン団長』と呼んでもらいたいな、ナナシ」
「直したではないか。
立場や世間体を考えるなら、此方の方が良いだろう?」
「ここでは私がルールだ、従え」
「・・・・・・・早速パワハラか?」
「これくらいでパワハラにはならないだろう?
それとも私の名前を呼びたくない理由でもあるのかい?」
「・・・・・・別に」
エルヴィンの手を振り払ったナナシが早速仕事に関して質問すると、
部屋は明日には使えるようにしておくが、
根回しに1週間程掛かってしまう旨を伝えられた。
ナナシとしてもピクシスに一言言ってからでないといけないだろうし、
明日からなど到底無理だ。
だが、早めにしなければならない事があった。