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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第25章 腹の探り合い





「君を売らない、というのは、
そういう状況が来るかもしれないという事か?」

「そうだな・・・目立つつもりはないが、噂話は止められん。
私に興味を持つ輩が出てくるかもしれない。
その場合、団長であるお主にその話が持ち上がるはずだ。
故に念を押しておきたかった」

「・・・私に話を持ち掛けてくるのは金持ちの商人か、
上、中流階級の人間・・・つまりは貴族という事になるが、
心当たりでもあるのか?」

「そういう階級の人間には変態が多いからな。
格下相手ならボコるなりすれば良いが、
上の人間はまず本人ではなく周りから攻めて来るだろう?
あと私の情報も売るな。調査兵団の首を締めるだけで良いことはない」

「君の過去に関係があるのか?」

「お主が知る必要は無い」


その言い草にムッとしたが、
ここで言い争っても仕方ないと判断し次の質問をする。

「・・・・・血を提供しろというのはどういう意味だ?」

「体質で貧血気味なのだ。定期的に血を摂取する必要がある」

「身体が弱い事と関係が?」

「そうだ、正直話すと私には人間に本来あるべき臓器が足りない。
故にそれを他から補う必要があるのだ」


それは相当身体が悪いじゃないか、と思ったが、
それを口に出せば彼を傍へ置けなくなるので黙った。


「血は輸血という形で構わないか?量と頻度は?」

「いや、出来れば生き血を直に吸いたい」

「・・・・・・・今なんて?」

「だから、美味しそうな人間に噛み付いて、直に生き血を吸い取りたい」


聞き間違いかと思ったら、本当にとんでもない事を言っていたナナシに、
禁書に書かれていた吸血鬼という化け物を彷彿とさせる行動だと
エルヴィンは若干現実逃避に走る。



噛み付いて・・・か。






・・・・・・・・・ん?







噛み付いて?





勢い良く紙面から顔を上げたエルヴィンは、
ナナシの顔を凝視した。




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