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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第25章 腹の探り合い





「・・・大丈夫だよ、今日は薬を仕込む余裕は無かったから」

「余裕があれば仕込んだという事だな。
茶も団子もいらん。お主らで食え」


エルヴィンを睨みながらそう言うと、
ハンジが「じゃあ、お菓子は私がもらう!」と団子に食らいついた。

ミケとナナバが「あぁ、薬を盛った事があるのか」と
視線でエルヴィンを批難していると、
彼はわざとらしく咳払いをしてナナシへ向き直る。


「過去の事は一先ず置いておこう。
実家で農作業するのも大いに結構だが、
その前に人類の為に調査兵団に入らないか?」


薬を盛った事を『過去』と切り捨てるエルヴィンに呆れながら、
「メリットが無い」と突き放す。


「死亡率がダントツで給料も少ない。
民衆からは『税金泥棒』と罵られる集団に好き好んで入るとでも?」

「そこを突かれると返す言葉もないが、
我々の志に賛同してもらえないだろうか?」

「残念ながら私は調査兵団の思想とは合わない。
広い檻なら高望みせず、そこで静かに暮せば良いという考えだ。
今以上を望む人間は傲慢な生き物だと思う。
少なくとも他の生き物は自分のテリトリーから出ようとは思わぬからな。
魚は水の中、動物は地上でしか生きられぬと本能が知っているから、
テリトリーからは出ない。自殺行為を好んでするのは人間だけだと思う」

「・・・・・手厳しい上に、随分と捻くれた保守的な考え方だね」



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