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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第25章 腹の探り合い





「その調味料を調査兵団で独占販売すれば、
資金に困らなそうだな・・・」

ぽつりと零されたエルヴィンの発言に調査兵団の面々は
「あぁ、確かに」と頷いていたが、
ナナシは呆れたように溜息を吐いて反論する。

確かに酵母技術はこの世界で発展しているが、
醤油が作れるかどうか微妙だ。

しかも、醤油を作ろうとすれば食糧難の今、
確実に餓死者が出るだろう。


「お主らが考えている程、作るのは容易くない。
複雑な過程と多くの材料が必要で餓死者が出るぞ」

「そんなに大量に食材を消費するのか…考えものだな」

「考えるな。無理なものは無理だ」

「そうだね、調査兵団では作れないとしても・・・・
君が食材を大量消費出来る立場にある事がわかったから良しとするよ」


にっこり笑顔で返され言葉に詰まった。

内情を探ってくるエルヴィンに対して、どう返すべきか悩んだが
別に知られても痛くない事なので話しても問題は無い。


『実家』と称してはいるが、
異世にあるその家の主はナナシで・・・・
ナナシがいない今はナナシの眷属達が家を守っているのだ。

そしてその実家には割りと広めな農場などがあり、
この世界に無い植物も育てていたりする。

実家に帰っていれば、ナナシも農作業や調味料作りに精を出しているが、
自分が留守の今は眷属が色々やってくれているだろう。


「私が農夫だったとしても問題無かろう?」


面倒なので開き直ってやると、
エルヴィンは少し目を見開いた。


「その白い肌で農夫と言われても納得出来ないな。
農夫だったらもっと日に焼けているだろうに」

「・・・肌の色が不健康なのは元からだ。
大体リヴァイだって白いではないか」

「彼は地下街にいて日光を浴びてなかったからね。
でも君は違うんだろう?」

「さて、どうかな・・・」


はぐらかすと、エルヴィンは「残念だ」と眉尻を下げる。




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