過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第24章 ドキドキの治療法
「起きたのか?」
重い瞼を開けるとそこには夢と同じ人物がいて、
エルヴィンは一瞬「まだ夢を見ているのか?」と思ったが、
自分の額に感じる冷たい感触に現実なのだと悟った。
しかし、何故彼がここにいるのだろうか?
ここは調査兵団兵舎でエルヴィンの私室である。
彼をこの部屋に招いた事もないし、
ドアには鍵が掛かっているはずだ。
・・・と考えた所で、閉めたはずの窓が開いていることに気づき、
まさか・・・と思った。
「・・・まさか、窓から?」
「うむ、そうだが問題でも?」
問題以前で、ここは4階なのだが・・・。
それによくエルヴィンの部屋がわかったものだと尋ねると、
彼はあっけらかんと「気配でわかった」と言った。
気配で人の居所がわかるものなのかわからないが、
兎に角彼が目の前にいるというだけで良しとしようと、
エルヴィンは珍しく考える事を放棄した。
ナナシがエルヴィンの額から手を退けてしまったので、
その手を掴もうと起き上がった途端、
体中に激痛が走り呻く羽目になる。
「やはり身体が痛むか・・・。
昨日は大人げなくお主を痛めつけてしまったからな。
流石にすまなかったと思っておる」
「もしかして・・・様子を見に来てくれたのか?」
「一応・・・・・・あと、お主さえ良ければ痛みが引く治療も施すぞ?」
「!是非治療してくれ」
この痛みを引かせる治療とは一体どんなものだろうか?
マッサージか?それとも薬草か何か塗りこむのだろうか?
どちらにしてもナナシが自分の身体に触れるのは間違い無さそうなので、
エルヴィンが嬉々として承諾すると彼は懐から大量の針を取り出した。
布で包まれたそれはちゃんと消毒してあるらしいが・・・
いや、待て。
まさかそれを自分に刺すつもりか?