過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第23章 真意はどこに?
「・・・・・ハンジ、君の言う通りだよ」
その声にリヴァイとハンジは、
ハッと我に返りエルヴィンを覗き込んだ。
彼は苦しそうにしながら薄く目を開け、
二人を見つめている。
「エルヴィン!大丈夫!?」
「あぁ・・・・」
ゴホゴホと咳き込むのを見て、
少し水を飲ませ落ち着くのを待った。
待っている間に、殺気立ったままのミケがエルヴィンの部屋にやってきて、
目を覚ましたエルヴィンに心配そうに声を掛ける。
「・・・先程の・・・ハンジの言葉は恐らく真実だ」
部屋にいなかったミケの為にハンジが掻い摘んで説明すると、
ミケは半信半疑の表情を浮かべエルヴィンの話に耳を傾けた。
「リヴァイが気絶した後、彼は私に言ったんだ。
『今なら誰も聞いていない』とね」
「・・・・・・・・・」
「だが、私は最後まで降参しなかったんだ」
「おまえらしくないな・・・」
ミケの言葉にエルヴィンは自嘲するように口元を緩めた。
「そうだな・・・私らしくないやり方だ。
口八丁で出直せば良かったはずなのに、それが出来なかった。
彼といると童心に返ってしまうようだ」
「てめぇにもそんな時代があったのか?」
「失礼だな、勿論あったに決まっているだろう?
・・・丁度、その頃に私はナナシと出会ったんだ。
まだ童心が抜けきれていない幼い時に」
初めて聞く話にリヴァイとハンジは目を見開いて驚いた。
ミケはエルヴィンから「初恋の相手」だと聞いていたし、
ナナシからも「幼い時に会った」と言われていたので、
そこまで動揺はせず黙って話の続きを待つ。