過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第22章 勝負!
足の力が入らず、地面に膝を着いて己の状態を確認する。
ビリビリと痺れる感覚が体の先端から這い上がるように
全身に広がっているようで、愕然とした。
・・・これは毒?薬?
いつの間に仕込んでいたのか・・・。
「やっと、効いたようだね。危なかったよ」
安堵したような声が聞こえ、
顔を向けると構えを解いたエルヴィンが
余裕の笑みを浮かべていた。
「その薬はハンジが調合した特別製でね、
暫くは動けないそうだよ」
「・・・一体いつ」
「持ってきたサンドウィッチに仕込んでいたんだ」
「馬鹿な・・・どれも同じものだった。
一つに薬が紛れ込んでいたら気づいていたはずだ」
ナナシの目は、動植物の中に流れるエネルギーの流れを見ることができる。
3つの内、1つに毒が仕込んであったなら違和感に気づいて
それは口にしなかっただろう。
自分がそれに気づかないとはどういう事だ、と
動揺していると、エルヴィンは笑顔で種を明かした。
「君は勘が良さそうだから、持ってきた3つ全部に薬を仕込んだんだよ」