過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第22章 勝負!
「・・・何だと?」
エルヴィンの言葉に絶句した。
ならば、何故二人は何ともないのか。
「この薬は効力が強い代わりに効くのが遅い上、
2つの段階を踏まなければならない。
私達は1つ目の薬を口にしたが、2つ目の薬は口にしなかった。
だから、この通り無事という訳さ。
2つ目の薬は君の飲んでいたお茶に入れさせてもらったよ。
無味無臭だから気付かなかっただろう?」
「・・・お主にそんな隙を見せたつもりはないが・・・」
「そう・・・私が君の注意を引いている間に、リヴァイが入れた。
君はリヴァイがそんな事をする人間とは思っていなかったはずだからね」
―――確かに盲点だった。
エルヴィンならするだろうとは思っていたが、
リヴァイにその警戒をしていなかったのは事実である。
「・・・人の土俵で戦うと言っておきながら、
卑怯な手を使うものだ」
恨みがましく言うと、エルヴィンは笑みを引っ込め瞳に冷たいものを宿した。
「私は『君の土俵で戦う』とは言ったが、
『私の土俵で戦わない』とは言っていない。
これは君の過信から来る敗北だよ。
さぁ、共に調査兵団に行こうか」
ぐうの音も出ないとは正にこの事だ。
エルヴィンの言葉を鵜呑みにした自分が悪い。
しかし、この事と敗北はイコールではない。