過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第22章 勝負!
さて、どう攻めるか・・・。
瞬殺で沈めるか、どれほど鍛えられているか様子を見ながら
時間を掛けて沈めるかを考える。
あまり時間を掛けると、こちらがやられてしまう恐れもあるが
瞬殺では彼の成長を見られない。
少し様子を見るか・・・という結論を出し、
ナナシも構える。
拳を握るエルヴィンの構えに対して、
ナナシの構えは掌を開いた状態の構えだ。
防御や受け流しには最適で、
相手の力を利用する合気道や柔術などを使う時には便利とも言える。
構えたままの状態で、ジリジリと隙を窺う。
このままでは時間だけが過ぎるな、と思い、
ナナシから攻めた。
手始めに腹部へ掌底を叩き込もうとしたが、
エルヴィンは難なくそれを躱しカウンターを繰り出してきた。
想定範囲内の反撃にナナシもそれを上手く躱し、
拳と蹴りの連続攻撃を加える。
腕や足でそれをガードしたエルヴィンが距離を取るように後退したので、
ナナシはそれを追撃しひたすら攻撃を繰り返す。
エルヴィンはカウンターだけを狙っているのか、
自分から攻撃してこようとはしなかった。
カウンターで自分を沈めることは出来ないとわかっているはずなのに・・・と
ナナシは違和感を覚える。
・・・おかしい。
時間稼ぎをしているようなエルヴィンの動きに
ナナシも一旦距離を置いた。
周囲を探るがリヴァイが動く様子もないし、
伏兵がいる気配も感じられない。
エルヴィンがなにを狙っているのかわからないが、
一気にカタをつけた方が良いと判断して足を踏み出す。
――刹那、ナナシの身体は膝から崩れ落ちた。