第21章 口説く！

「もしかして、不治の病か何かか？それはいけない。
一緒にシーナにある病院へ片っ端から行こう！」


本当に心配そうに言ってきたので、
ナナシの中に罪悪感が生まれてくる。

嘘ではないが、こうも真剣に心配されると辛い。


「誰かに・・・身体を見せたくはない。
見せても無駄なのだ」

「無駄なものなんて無い。
過去に君がどれだけの医者から嫌な目に合わされたかはわからないが、
私が一緒なら大丈夫だ。下手な医者に見せるような真似はしない。
君を守るよ」

「・・・・・・・医者には行かない。
兎に角私が言いたかったのは、この身体は軍での荒事に向かないという事だ」

「医者からそう診断されたのなら、君の言い分を信じよう。
そうじゃないなら、退けないね」


心配する様子とは打って変わって、
にっこりと笑いながら言うエルヴィンに、
「こいつ、これが本当の理由じゃないって気づいてやがった」と
ナナシは思った。